東京23区シングルトラック探訪

東京の西側に行けばMTBで走って楽しいシングルトラックがたくさんある。最近は登山道へのMTB乗り入れ規制などきな臭い話もあるが、有名な登山コースでなくとも里山の裏道的な場所は多い。
とはいえ、都心在住の人が多摩や埼玉の山までMTBに乗りに行くのは結構大変。クルマで行くにも時間がかかるし、クルマがなければ輪行しなければならない。そこまでせずにMTBライドを楽しめる場所がないか、そう考えたのが23区内でシングルトラックを探し始めるきっかけだった。
条件は23区内であること、自転車通行可能であること。通行禁止が明示されていなくても地権者や通行人などに迷惑がかかる場所は対象外である。

まずは交通の便が悪い公園。整備もあまり行き届いていない公園は、人気もなく意外に走れる。距離は短いが。

そして河川敷。公園やグラウンドが点在しているが、元々防災のための場所でもあるため広大な空き地のようなところが多い。散歩人や釣り人などにより踏み跡が自然発生している。

川辺には地域の人が使う裏道がある。自治体所有の土地と私有地の狭間にそんな裏道が多い。

23区のシングルトラックはほとんど起伏がないが、それでも土の感触を楽しみながら走るのは気持ちがいい。通行人への配慮が必要なのは登山道をMTBで走るときと同じ。地図を眺め、裏道的シングルトラックを探すのもまた一興である。

インビクタス/負けざる者たち(クリント・イーストウッド、2009)

スポーツが政治利用されるストーリー。
民衆に注目されるスポーツは政治的に悪用されることが多い印象が強い。オリンピックなどはその最たるものだろう。1936年のベルリン。1972年のミュンヘンでのテロ。1976年から3大会連続でのボイコット(モントリオール、モスクワ、ロサンゼルス)。ナショナルチームには少なからず国家予算が注ぎ込まれているので、見返りを求められるのは止むを得ない。綺麗事だけでは勝てないのも理解できる。
現実はどうだったのかは知らないが、この映画でのマンデラは強かだ。無邪気に自国チームを応援しつつ、新しい南アフリカの象徴として国内外へのアピールを欠かさない。選手もそんなマンデラに乗せられ勝ち進む。国家元首が一つのラグビーチームに介入することは、強権による独裁と見なされかねない。しかし、多くの困難と不満を抱える国民を自国ラグビーチームによって纏めていく手腕は、泥臭くも巧妙である。
アジア某国サッカー選手の短絡的政治アピールとか、人気取りのために国民栄誉賞を乱発する某国首相とか、方法が稚拙で目的が下劣な政治利用との違いには眩暈がする。改めて人間の器の大きさには差があり、容易にはその器を大きくすることはできないのだなと思った。
それと、マンデラ本人のお墨付きらしいが、主役はモーガン・フリーマンしかありえない。観る前も観た後もその印象は変わらない。

インビクタス / 負けざる者たち [DVD]

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タクシードライバー(マーティン・スコセッシ、1976)

ロバート・デ・ニーロのモヒカンとかジョディ・フォスターの13歳とは思えない演技とか、見どころが多いし映像は結構スタイリッシュでかっこいい。が、鑑賞後感は何となく重苦しい。
ラヴィス(デ・ニーロ)のタクシー乗車中の無表情と、運転手仲間や女性に話しかける時の微笑との落差に病んだ精神を感じる。得体の知れなさ、不気味さ、いつ爆発するかわからないヒリヒリした恐怖。
行動だけ追えば、堅気の女性とのデートでポルノ映画、娼婦に説教、ヒモに説教、シークレットサービスに見咎められ逃走、のちヒモや娼婦の客らを皆殺し、と、かなり支離滅裂。義憤と欲求不満を混同している少しオカシくなった若者にしか見えない。怖いのは、そのオカシい若者の頭の中は至って論理的であるということ。
この映画は、ベトナム帰還兵問題、社会の腐敗、現代人の孤独などの視点から論じられることが多いと思う。しかし、そのような社会的メッセージではなく、もっとリアルな不安や無力感が画面から滲み出てくる。自宅警備員ワーキングプアなどが受けているんじゃないかと想像する、将来への漠とした不安感や重苦しさが人に及ぼす影響について考えさせられてしまった。
無知による社会認識の不足で、人は幾らでもオカシくなる。そうならないために教育があるんじゃないのか。そうなる前に誰か助けてやらないのか。何もかも「自己責任」で突き放した結果、街中みんなトラヴィスになっちゃう近未来を想像してしまった。ん?もうとっくにそうなってるって?

グッドモーニング、ベトナム(バリー・レヴィンソン、1987)

ロビン・ウィリアムズに寄せて。
硬直した組織に対する抵抗という面で観ると、クロンナウア(ウィリアムズ)の行動には快哉を叫んで良いだろう。
一方、ベトナム駐留米軍ベトナム人の関係性に着目すると、クロンナウアは他の米兵と異なりベトナム人を理解し交流しようとする変わり者でありリベラルな人物なのかと思って観ていても、ベトナム人視点では最後までアメリカ人の価値観を押し付ける異邦人という描き方しかしていない。
相互理解には程遠い一方的な「交流」に励んだ挙句、親しく接してくれた青年がベトコンだったと知り裏切られたと感じる。しかし、実態が米ソの代理戦争であり、当事者であるベトナム人がそれをどう受け止めているのか考えれば、米兵とベトナム人の壁を越えて分かり合えるみたいに楽天的にはなれないのではないか。
青年がベトコンであることが戦争の状況そのものに依拠しているのに、それを裏切りと感じる。この絶望的なデリカシーの無さ、異文化に対する想像力の欠如はアメリカ人の典型なのかもしれない。
ベトナム戦争を題材とした映画の中では異色の作品であるが、それでもベトナム人からの視点で見れば違和感が残る。アメリカで制作された映画の限界なのかも知れない。

LIFE!(ベン・スティラー、2013)

バック・トゥ・ザ・フューチャー」へのオマージュ?スケボーも出てくるし。アメリカ人はこういう話が好きなのだろうか?
悪役はリストラを進める新任の上司テッド。軽薄だったり若いのに髭面だったり自信たっぷりで、「ダイ・ハード」のエリス(テロリストに取り入って結局殺されるナカトミ商事重役)を思い出す人物造形。アメリカ人がエグゼクティヴのいやらしさを描くときの典型としてよく見るタイプのような気がする。
グリーンランドのシーンは素晴らしい。木が少なく、緩やかな起伏がどこまでも続く風景。
登場人物は皆いい人。嫌らしい上司も何だかんだで主人公の仕事には敬意を払っているし、カメラマンのショーン・ペンや憧れの女性も皆正しいことを知っていて、自分を弁えている。信念を持って生きていればいつか報われるというラストシーン。楽観的である。観終ったときに深い感慨は覚え無いが、現実もこうありたいものだと思う。実際、日々の生活はままならないということを意識させられる映画であった。

渇き。(中島哲也、2014)

原作「果しなき渇き」は数年前に読んでいた。救いの無い話、倫理観ゼロ、残虐な描写多数。加えて大都市近郊の空虚な雰囲気、ロードサイド感が強く印象に残っている。まさか映画化されるとは思わなかった。どちらかといえば「ヒステリック・サバイバー」のほうが映画化に向いてるんじゃないかとも。

映画化でストーリーは整理され、それでも原作の雰囲気をよく表現しているなと感じる。低所得者層の閉塞感、半グレの気味の悪さ、若年層の捉えどころの無さ、平穏な日常の裏に存在する薄ら寒い現実を突き付けられる。藤島の荒れっぷりが最初から最後まで同じ高レベルを維持していて、負け犬が徐々に狂犬に変貌する原作とは違う印象であったが。また、ノワールとしての原作を土台としながらも、笑えるシーンも結構多い。

尺の関係もあってか、石丸組との絡みは端折られている。趙も原作とは違う形で殺害。
一方、原作ではエピローグに近い印象であったラストシーン、東先生との絡みが比較的長い時間描かれている。加奈子の異常性描写の最後のダメ押しとともに、藤島の暴走がどこまで続くのか漠とした落ち着かなさを余韻に、物語は終わる。


キャストの印象。

役所広司藤島昭和)
前述のとおり冒頭から終幕まで粗暴、凶暴。狂気がちょっと足りないかな。

小松菜奈(加奈子)
驚いた。役にハマってる。無邪気な笑顔、表情を閉ざした演技、メリハリ効いてる。

中谷美紀(東先生)
物語最大(唯一?)のミステリ要素を手堅く演じている。さすが。

高杉真宙(松永)
原作の棟方。拷問シーンだけ強い印象。

二階堂ふみ(遠藤)
ハマってる。いるよなこういうクソJK。

清水尋也(「ボク」)
原作の瀬岡。まずまず。

橋本愛(森下)
原作の松下。手堅い。イマドキの若者の感じが上手い。

黒沢あすか(桐子)
垣間見えるビッチ感。貫録あり。

青木崇高(咲山)
原作とは設定が違うので仕方ないが、出番少ないし印象が薄い。

國村隼(辻村医師)
ベテランの味。

オダギリジョー(愛川)
原作の小山内刑事。ちょっとカッコよすぎでないか?

妻夫木聡(浅井)
怪演。原作とは全く異なる人物造形(一番の下衆野郎)だが結構好き。笑える。


それにしても中島哲也監督らしい画作りが全編に溢れている。クロスカッティング多用、ミスマッチのようで効果的なBGM、挿入されるアニメーション。カーアクションも新しい。クルマで追いつ追われつみたいなのはあまり無く、横っ腹に突然突っ込まれるところを車内から撮っているシーンがかっこいい。それに、最後のシーンのフェードアウトからエンドロールに切り替わる時に流れるあの曲!鳥肌立った。「ダイ・ハード」のラストシーンで流れる“Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!”みたい!

渇き。STORY BOOK

渇き。STORY BOOK

ONE STEP BEYOND in 立山

Sarcのイベントで日頃の練習(スキーでなく撮影)の成果を試す。

手持ち、一脚使用時とも、手ブレに課題が残った。しかし、ハンディカムと比べて解像感やダイナミックレンジの広さには満足。

操作性にはやや問題がある。カメラ背面の ISO やホワイトバランスボタンに触れてしまうことが多く、いちいち設定をし直すのが面倒。

ファイル形式はMP4、60fps。編集で 30fps に変換したが、滑らかでよい。

GoPro HERO3 でタイムラプスも。山頂から徐々に朝日に染まる奥大日岳を撮りたかったが、起床してみると雨が降っており断念。天候が良かった夕方に撮影した。
インターバル撮影モード(2秒間隔)、500万画素(ミディアム)で30分撮影。卓上三脚に GoPro を装着し雪に刺して撮影したが、強風のためブレが起きていた。GoPro Studio で avi 形式動画に変換後、Power Director で ソフトウェアスタビライザーを掛けた。インターバル撮影での GoPro の固定には一考の余地があるようだ。