INTO THE MIND(Sherpas Cinema、2013)

前作「All.I.Can.」が拡散する冒険心を描いていたとすれば、今作はより内省的であり、エクストリームスポーツの持つ意味を掘り下げた作品だと言える。

「All.I.Can.」でもお気に入りの JP Auclair によるストリートシーケンス。バス停まで滑り降りて、やってきたバスが「UPHILL」行き。子供に雪玉を投げられ犬に吠えられ洗濯物を飛び越え、と、ユーモアをちりばめたパートであった。
一方、今回は夜の都会を滑り抜ける。追いかけてくるのはサーチライトとサイレン。
前作が「近所のおじさんおばさんが眉をひそめる」ストーリーであるのに対し、今作の演出は違法・反社会を暗示している。

そして、繰り返される「回転」のモチーフ。摩尼車の回転に呼応するような風景。あるいは濃厚な死の暗喩。転倒、出血、ヘリによる搬送。病室。猛禽の眼球のクローズアップ。

チャプターに付けられた「」「Rebirth」といった言葉からは、循環のイメージが強く伝わってくる。死と再生。子供がスキーに興じる古い8mm映像を挿入することで再生のイメージを強化している。作品全体に通底するテーマは、一言でいえば「輪廻」であろう。

ところで、GoPro がスポンサーとなっており、映像でも多く使用されている。興味深かったのは、視野周辺をボカす編集。何らかの効果を目的としているのだろうが、その編集意図は見当がつかない。GoPro 特有の全画面シャープな画を嫌ったのかもしれないが、カラーコレクションによる自然な色と相まって見やすい気はする。