粘膜戦士(飴村行)

粘膜シリーズ4作目。連作短編で、舞台はシリーズ共通。太平洋戦争当時の日本とマレー半島の架空国家ナムールを舞台にしたグロテスクで奇妙な話。角川ホラー文庫刊だがホラーというのはちょっと違う気がする。背筋が寒くなるわけではなく、強い生理的嫌悪に一抹の寂寥感が加わった何とも形容し難い読後感。
爬虫人などシリーズお馴染みのアイテムは今作でも健在。自白剤・髑髏や松本少佐など第1作以来の登場もある。「粘膜兄弟」でいい味出してた変態老人「ベカやん」が、今作では間抜けなジジイを装った抗日ゲリラの主導者らしき謎の人物として現れる。シリーズが今後も続くとしたら、姿を変えてベカやんが再登場しそうな予感。楽しみである。