サヨナラCOLOR(竹中直人、2005)

竹中直人監督・主演。
良くも悪くも竹中直人の映画って感じ。この人の印象が強すぎて、ストーリーに現実感が感じられないが、そこが狙いだったりして。ある意味ファンタジーとも言える。
登場人物が多くてやや話が拡散しているし、あまり脇役が描きこまれてないからか生活感が感じられない。医師役の主人公である竹中直人自体、今一人物像が鮮やかでない。初恋の人=原田知世が癌で入院してきて病院での仕事は彼女に掛かりっきりになる一方で、それまでの愛人の中島唱子とも関係は続けているし、新たに女子高生とも援助交際が始まる。お忙しい割に何だかぼーっとした時間を過ごしたり、院長の三浦友和や婦長から仕事ぶりを注意されてもそれ以上深刻な事態にはならないし。挙句の果てには、原田知世の手術が成功した後で竹中直人は自ら癌で死んでしまう。やっぱりファンタジー
現実には、大人になれば他人とは意見がぶつかり合うし、剥き出しの悪意に晒されるし、仕事とプライベートとを問わず一つの事だけには集中なんてできないし。舞台になった湘南の風景同様、何だか現実感が薄い映画。それを描きたかったのかもしれないが。
キャストにはミュージシャンが多数名を連ねていて、何だか面白い。大半は演技になってないんだけどね。清志郎なんか演技も何もあったもんじゃないけど、あの人はどんな映画・ドラマに出ても同じだったからね。内村光良中島みゆきの演技は良かった。
それと、浜辺に原田知世が立ち尽くすラストシーン。3分以上の長回しで、エンドロールが流れながら夕陽の残照が徐々に消え殆ど無彩色に変化する風景は綺麗だった。