愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ(打海文三)

孤児部隊三部作の第二部下巻。
シリーズの共通構成として上巻はカイトの、下巻は月田姉妹の視点で物語が進行する。姉妹の一人は第一部ラストシーンで死んでしまったから、第二部以降は残った月田椿子の物語となる。
上巻が正規軍の戦いを描いているのに対し、下巻は椿子達女の子が結成したマフィア「パンプキンガールズ」のアンダーグラウンドビジネスと非正規戦を描いている。上巻の重々しい雰囲気とは対照的に、明確な戦略を持ちつつ好き放題でいい加減な戦術で戦場を引っ掻き回す様が、スピード感と切れを感じさせる。
第一部ラストで双子の片割れの桜子が死んでも涙も流さない椿子は、世界の変化、世界の混沌、世界の悪意に過剰に適応している。その言動にはカタルシスを感じるが、このような人間はいずれまともな死に方はしないんじゃないかと不安を感じる。そんな椿子の最期があるのかないのか、それはもう描かれることはない。