犬神家の一族(市川崑、1976)
演技が良い。音楽が良い。撮影が良い。編集が良い。
石坂浩二の金田一耕助は、探偵としての推理の鋭さよりも猜疑心や地道な捜査態度、被害者加害者双方への配慮などの人間味を前面に出す演技が好ましい。
大滝秀治、岸田今日子など癖のある役者が脇を固め、三國連太郎などは臨終と遺影でしか出てない。贅沢。坂口良子は可愛らしかった。加藤武のお約束「よし分かった!」もイイ。
スケキヨ、シズマなど名前のセンスも素晴らしい。尤もこれは横溝正史によるものだが。一方、犬神三姉妹が松子、竹子、梅子という安直さも可笑しいが、これは物語における三姉妹の境遇からすると必然ともいえる。
鋭い編集も好き。フラッシュカットの使い方とかにもうっとりしてしまう。人間関係は複雑でかなり盛りだくさんなストーリーのはずなのに、中弛みや迷走もなくあっという間にエンディング。フルコースの食事の後のような満腹感を覚える。
因みに、金田一が投宿した那須ホテルのロケ地は旅館として今でも営業中らしい。いつか泊まってみたい。
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