座頭市(北野武、2003)

金髪とかタップダンスとか色々と物議を醸したようだが、そのことを知っていた所為かあまり気にならなかった。所謂正統派の時代劇らしさとは違う雰囲気は確かに感じられたが、それはこの映画の本質とは何も関わりがない。幾ら時代考証を重ねても時代劇はドキュメンタリーには成り得ないし、極論すれば現代劇もドキュメンタリーも映画というフォーマットに作り上げることで何らかの演出がされる。現実を忠実に再現することが映画に求められることではないし、どこまで忠実であれば時代劇として正統なのかその基準は設定できないであろう。ある主題を2時間で語る物語に構築するのが映画であると思っているので、1本の映画として筋が通っており完結することが最低条件ではないか。
実際のところ、勝新太郎座頭市も台詞は現代的な言葉であり、音楽も付く。その他の時代劇であってもそれは同じ。では、時代劇にとってどんな音楽、どんな演出が正統で邪道なのか。
あまり細かいことを気にせず身を任せて見たが、とても面白かった。特に殺陣。外連味たっぷりのTVの時代劇のような殺陣と全く違って、速く、一瞬で決まる。凄味があった。

座頭市 <北野武監督作品> [DVD]

座頭市 <北野武監督作品> [DVD]