アウトサイダー 組織犯罪対策課 八神瑛子III(深町秋生)

とうとう八神は敵に到達。警察内部に敵がいることは早い段階で明らかになるが、謎解きそのものは物語の主題ではない。夫を殺した五條刑事(八神もある意味”悪徳刑事”であるが)を追い詰めたところで、その五條から「おれと組め」と問いかけられ、一瞬の逡巡が八神の心を過る。シリーズのクライマックス。エンタテインメントとしては本書の通りの結末が正解であろうが、ちょっと残念でもある。信念を貫くために悪に染まり戻れなくなる、そんな結末もありだったのではないか。
著者がブログで完結編を宣言している以上、続編は本当に無いのかもしれない。しかし、八神瑛子のカムバックを期待せずにはいられない。その時は勿論、富永署長も一緒にね。