茄子 スーツケースの渡り鳥(高坂希太郎、2007)

ロードレース「ジャパンカップ」が舞台のアニメ。
黒田硫黄の原作は、トレードチームのアシストレーサーの生活を描いた短編。映画はこの原作に、ある伝説のレーサーの死と日本人のボランティアとの交流をエピソードとして付け加えている。
伝説のレーサー、モデルはマルコ・パンターニなんだろうけど、キャラ的には別の人物だろう。作品中のこのレーサーは登場人物の一人に目を掛け一緒に練習する面倒見のよい先輩。パンターニには他人を寄せ付けない孤高の人のイメージがある。会ったことはないので本当はどうだか知らないけど。山岳ステージでの圧倒的な強さ。88年のダブルツール。ドーピング疑惑。コカイン常用による死。メディアで紹介されているパンターニの生き様は、自転車レーサーとしては悲惨かつ壮絶だった。
監督の高坂さん自身が自転車乗りのためか、描写はリアル。アタックを掛ける時のオンボードカメラ風シーンや変速してチェーンがスプロケの上を滑っていくシーンなど、過剰なまでに作り込まれてる印象。今時のアニメらしくCGも結構使ってる。
高坂さんとは一度走ったことがある。いや、一度じゃなく一瞬。奥多摩周回道路を登ってるとき、抜かれました。T-Mobileカラーのピナレロ?に乗ってた…と思う。なんせ一瞬にして抜かれ、付くこともできなかったので実はよく覚えていないのでした。