戦場のメリークリスマス(大島渚、1983)

公開当時、たけしのオールナイトニッポンを毎週聞いていたことを思い出した。カンヌ落選後のオールナイトでは、坂本龍一の「Merry Christmas Mr.Lawrence」を延々とかけるダウナーな放送だった。たけし自身はTVやラジオで撮影のエピソードを散々茶化して話していたが、改めて観ると中々に重い話。と言ってもよく評論されている英国と日本の文化・歴史的な差異がテーマであるとは思わない。
登場人物たちは太平洋戦争という状況によって日本陸軍、英国陸軍、朝鮮人軍属という立場に規定されているが、それと矛盾する個人の思いとのギャップに皆が相克する。ラストシーン、終戦後の処刑前夜の原軍曹(たけし)がローレンス(トム・コンティ)に見せる笑顔が、立場の逆転にも変わらない人間の思いを直截的に見せている。
しかし、坂本龍一の演技は一体……この後「ラストエンペラー」に出演しているが観ていない。怖いものみたさで観ちゃうかも。共演したミュージシャン兼役者だと、出番は僅かだったが内田裕也の存在感が印象的だった。「十階のモスキート」「コミック雑誌なんかいらない!」なんかをまた観たくなった。